院生からのメッセージ

 

修士課程

児童学児童教育学専攻

児童学・児童教育学における実践的課題解決能力をもった人材を育成

変化の激しい現代社会において子どもの成長発達を的確にとらえ、子どもの健全育成のための環境と方法についての深い学識と専門技術の習得をめざします。個性を育てる芸術教育分野の研究もおこなわれ、保育所・幼稚園・小学校の現職者や経験者が実践的課題解決能力を持った研究的教育者になるための配慮もされています。

新任保育士定着と専門性の向上について研究する

K.A.さん 人間生活学総合研究科 児童学児童教育学専攻 平成26年度修了生

保育現場や一般企業での社会人経験を経て、現在は保育士養成校で働いています。保育士不足が課題となっている現代において「新任保育士の定着と専門性の向上」について考えることは、保育士の離職問題解決の一助になるのではと思い、大学院への進学を決めました。大学院では、保育園の「園内新任研修」に参加をし、複数の新任保育士に定期的にインタビューを行いながら研究を進めています。仕事と勉強の両立は大変ですが、「養成校」と「大学院」という2つのフィールドで新任者育成について考えることができ、働きながら学ぶことの意義を日々実感しています。大学院終了後は、研究成果により何らかの形で社会に貢献していけるよう、指導教員の先生にご指導いただきながら日々精進してまいります。

困難を抱える子どもへの援助について研究した成果を今後に生かしたい

I.R.さん 人間生活学総合研究科 児童学児童教育学専攻 平成28年度修了生

幼稚園教諭として働いてきましたが、経験だけを頼りにしてきた面があると感じ、自らの保育を振り返ってみたいと思って大学院に進みました。研究テーマに選んだのは「特別な配慮を要する子を含んだ幼児期の集団における人間関係の構築」です。保育現場で見てきた、子ども同士の人間関係の構築に困難さを抱える子どもたちに、保育者ができることを考えてみたいと思いました。豊富な保育経験をもつ方へのインタビューから皆さんの実践知(現場で適切な判断を下せる能力)を明らかにしています。今後は保育者養成校で後進の育成にあたることで、役立てていきたいと思っています。

健康栄養学専攻

食と栄養の高度な研究者や実践的な専門能力をもつ管理栄養士を育成

食品の多様化が食生活を向上させるなか、飽食や食のアンバランスが健康阻害や疾病の原因となっています。本専攻では、食物・栄養・健康に関する高度な知識を教授するとともに、管理栄養士の高度な実践的専門技術を習得することによって、これらの諸問題を解決する研究能力をもつ人材と、専門技術をもつ管理栄養士等を育成します。

M.N.さん 修士課程2年(令和4年4月現在)

食品中のにおいの成分について、分析機器や官能評価を用いて研究しています。私は「ウコン」に着目しています。ウコンは健康に有効な成分を含んでいますが、日本人にはあまり馴染みある食材ではありません。ウコンがより身近な食品素材になれば、普段の食事から人々の健康に貢献できると考えました。そこで、GC/MSという機械を用いてウコンのにおいの成分を分子レベルで特定したり、ウコンに対する私たちの嗜好を官能評価によって調査したりしています。得られた結果をもとに、学会発表にもチャレンジしています。研究や学会発表に挑戦することで、自身の知識・経験を豊かにし、人々の健康に貢献していきたいと考えています。

食育活動の成果を数値化したい

K.E.さん 人間生活学総合研究科 健康栄養学専攻 平成30年度修了生

大学卒業後間もなく管理栄養士として保育業界に入り、乳幼児の食育活動に従事してきました。その後15年が経過し、日常的に行われている食育活動の成果を数値化することはできないかと考えながら、勉強したい気持ちも募って、大学院に進学しました。私の研究テーマは、「選択する食育活動が幼児の食事量に与える効果」です。幼児に好きな色の食器を選択させた時と選択させず白い食器でご飯を食べたときの喫食量の違いから、選択する食育活動の有効性を示しました。多くの幼児が性別に関係なく、暖色ではない黒や青の食器を選択したことは印象深い出来事です。また、社会人を経て大学院に進学したからこそ拡がった学びのスタイルや、先生方や先輩方が繋いでくださった様々なご縁が私の何よりの財産です。

胃切除患者の栄養改善について調査・研究を進めています

H.M.さん 人間生活学総合研究科 健康栄養学専攻 平成28年度修了生

管理栄養士として働き始めて10年目に大学病院へ入職しました。研究や学会発表を行っていましたが、より高度な研究能力を身につけたいと思い大学院に進みました。現在は「胃切除患者の栄養改善について」研究しています。体重低下などを防ぐため、管理栄養士は胃切除患者に対してさまざまな術後障害に応じた栄養指導を行っています。私は、胃切除患者に術前と術後1年間で計5回、体組成測定や食事栄養調査などを実施し、体重減少の原因を調べ、栄養改善につなげようと取り組んでいます。病態栄養認定管理栄養士、がん病態栄養専門管理栄養士の資格も取得する予定です。

造形学専攻

衣生活文化・生活美術の発展をになう人材を育成

着心地や簡便性、美意識や自己表現、伝達などの多面的な衣服の創造を目的とした衣生活の科学と文化、そして衣服とのつながりをもつ生活美術をテーマとしています。服飾美術と造形表現2つの分野のカリキュラムにより、幅広い、しかも奥行きと実践力のある専門家の養成に力を注ぎます。

「多糖類ナノクリスタルを利用した機能性を脱着可能な布の新規加工法に関する研究」

I.A.さん 修士課程2年(令和4年4月現在)

近年、世界的に環境汚染問題や資源の枯渇などといった問題が多く挙げられ、SDGsへの取り組みが盛んに行われていることから、天然繊維布の改質をテーマに研究を進めております。修士課程では、大学在学時よりも専門的な授業を受けながら研究に時間を費やすことができ、さらに専修免許の取得も目指しています。学会で研究成果を発表し、論文を投稿するという経験を重ねることで多くの学びを得ることができます。今後は、大学院で学んだことを活かして研究者や教育者になることを目標としております。

「生きる」ための知識を学ぶ家庭科の魅力と重要性を伝えたい

I.J.さん 人間生活学総合研究科 造形学専攻 平成26年度修了生

高校時代に家庭科教諭になることを決めました。家庭科は生活に必要なことを学べ、それを生活に役立てられる教科だと感じたからです。東京家政大学の服飾美術学科での学びを通じ、家庭科が「生きる」ための知識を得る重要な科目だと知ったことから、習得した知識を研究という形で追究するために大学院に進学しました。現在は、「家庭科教育」という視点で服飾造形や被服管理、繊維について学び、教える立場になったことを想定しながら研究を進めています。「生きる」を学ぶ科目である家庭科の魅力を伝え、家庭科の必要性を生徒に確認してもらえる授業ができる教師をめざしています。

ユニバーサルデザインの衣服を通じて、視覚障がい者の方の役に立ちたい

N.Y.さん 人間生活学総合研究科 造形学専攻 平成29年度修了生

短大を出て就職しましたが異動が多くて専門知識が身につかず、自分で専門性を身につけようと、以前から興味のあったテーブルセッティングを学問的に学ぶために、他大学の家政学部に編入しました。卒業論文で「視覚障がい者に衣服の色を伝える触覚タグの試作」に取り組んだことがきっかけでユニバーサルデザインへと興味が広がり、東京家政大学大学院へ進学しました。修士論文のテーマは「視覚障がい者のガイドヘルパーの衣服デザインと制作」です。この経験を生かし、将来はコミュニケーションツールとしてユニバーサルデザインの衣服を機能させていきたいと考えています。

英語・英語教育研究専攻

高度な英語教育研究の能力を磨く

英語・英語教育研究専攻は、英語教育、英語学・英語文学の2分野で構成されています。それぞれの分野を専門に研究すると同時に、他分野の授業科目を履修することで、広い視野で研究ができます。将来、英語教育の現場で活躍するための高度な能力を育成するとともに、研究能力も養成。研究対象が外国の文学・文化・言語であり、その教育に関わるため、国際化時代に対応できる実践的な英語能力の育成に努めています。

U.A.さん 修士課程2年(令和4年4月現在)

学部で教職課程を履修し授業の実践方法を学びました。その中でなぜこの指導法が良いのかと悩むことがありました。そこで、理論を学びたいと大学院進学を決めました。講義では理論を深く学び実践との繋がりを実感しています。現職の先生方と講義を受けているので、現場経験のない私にとって学校現場や生徒の様子など、現場を知ることができる貴重な機会になっています。教授から学ぶだけでなく、他の院生とも互いの研究テーマについて議論を交わし、様々な視点から研究を見つめて修論研究に奮闘する充実した日々を過ごしています。

小説を広い視野から考察する楽しさを多くの人と共有したい

T.S.さん 人間生活学総合研究科 英語・英語教育研究専攻 平成26年度修了生

大学で文学への興味がわき、小説に関する授業を多く履修しました。さらに深い文学に関する知識を得たいをいう気持ちが強くなり、進学を決意しました。大学院では、文学を広い視点で捉えるということを学んでいます。大学時代は一人の作家のひとつの作品を読み解くことが中心でしたが、国、時代、性別、年齢、出自など広い範囲から考察することで、より深く理解できるようになりました。文学のなかに共通してあらわれる話のリアルさや非リアルさを研究テーマにしたいと考えています。将来は出版や編集の仕事に携わり、多くの人と本の素晴らしさを共有していきたいと思います。

教員を続けながら学び、「理論と実践の結合」を実感する毎日です

M.M.さん 人間生活学総合研究科 英語・英語教育研究専攻 平成30年度修了生

公立中学で約30年英語を教えてきました。大学院の講義では、第二言語習得について理論と実践、両方の視点から学んでいます。本や研修で学んできたことが、大学院での学びにより系統立てられ、教師経験と結びついて深化していく感覚を楽しんでいます。まさに「スキーマ(既存知識)の活性化」も身をもって体験しているところです。大学院で複数の視点から学んだことで、現場に戻って授業をする際、生徒たちの頭のなかがふつふつと沸き立って、新しい知識を求めて目が輝き出す過程が見て取れたことに驚きました。今後は、語い指導を研究テーマにしようかと思考中です。

臨床心理学専攻

「臨床心理士第1種指定大学院」として、理論と実践の両面で実力を備えた臨床のスペシャリストの養成をめざしています。臨床に関わる諸領域の優れたスタッフをそろえ、多くの実習科目を含みながら理論面での実力涵養をも考慮したバランスのとれたカリキュラムを充実させ、学内にある実習施設や提携病院を整備しています。文学研究科心理教育学専攻※の多くの修了生が臨床心理士として活躍しています。

臨床心理基礎実習

カウンセラー役とクライエント役でロールプレイを行います。 本学附属臨床相談センターの面接室を使うことで、実際のカウンセリング場面を想定した実習となっています。

臨床心理査定演習

心理査定の理論や方法を学ぶだけでなく、実際に大学院生や大学生に対して心理検査を実施する中で、スコアリングや解釈のスキルを養います。具体的には、個別式知能検査やロールシャッハテストを何人もの学生に行い、検査実施の実践力を高めます。

修士1年の後期から、本学附属臨床相談センターでの実習が始まります。

相談のために来所した方の受付対応を行ったり、新しく相談申込みをされる方の電話インテークを行います。 年明けには各自が心理支援のケース担当を行うようになり、指導教員のスーパーバイズを受けながら、 より実践的なトレーニングを積んでいきます。

密度の濃い授業と実践的な実習で多くの人を支える臨床心理士を目指す

K.M.さん 人間生活学総合研究科 臨床心理専攻 平成26年度修了生

高校時代から心理カウンセラーをめざしていたので、臨床心理士の資格取得のために第1種指定大学院である東京家政大学大学院に進むことを決めました。授業の多くが少人数で、ディスカッションをとおして知見を深めることができます。また、より専門的な心理療法の知識をはじめ、疾患を想定したカウンセリングや心理検査のトレーニングなど、密度の濃い授業が充実していて、付属の臨床相談センターでの実習では、現場ならではの緊張感と充実感をもって臨めます。修了後は学んだことを生かし、臨床心理士としてさまざまなフィールドで多くの人を支えていきたいと考えています。

臨床心理士の資格を取得し、女性を支えるカウンセラーを目指します

O.K.さん 人間生活学総合研究科 臨床心理学専攻 平成28年度修了生

助産師として働くなかで「人の心」の大切さを感じ、東京家政大学の心理カウンセリング学科に入学しました。大学院に進んだのは、2年次に「家族心理学」と出あい、より深く学びたいと思ったからです。受講したかった「家族心理学特論」では、家族面接をロールプレイで行い、実践的な体験学習を重ねています。研究については、母親が「語る」出産体験をナラティブ(語りを通して得る人間理解)で分析検討してみたいと考えています。目標は臨床心理士の資格を取得し、女性と子どもを支えるカウンセラーになることです。大学院で本気で学びあえる学友を得たことも大きな財産です。

教育福祉学専攻

心理学・教育学・社会福祉学を中心とする学際的な広い視野・観点から人間への理解を深めるという目標のもとに、現代に求められる専門分野を深く学べるカリキュラムと体制を整えています。とくに、社会人を対象とした特別入試制度によって、広く門戸を開放し、学校や地域社会の諸問題を創造的に解決できる高度職業人を養成します。

学びながら児童福祉司として働き、成長した自分を実感しています

M.A.さん 人間生活学総合研究科 教育福祉学専攻 平成27年度修了生

大学院では「自閉症スペクトラム症の子どもたちの社会性・コミュニケーションの発達を促す支援」が研究テーマでした。大学1年次からボランティアとして参加している「障がい児の料理サークル」の子どもたちと保護者の方にご協力いただきながら観察データを収集・分析し、保護者の行動が子どもにどう影響し、他者との関わりに広がっていくのかを研究しました。修士2年目からは、児童福祉司として児童相談所に勤務しています。大学院では授業が少人数で発言することも多いため、自分の考えを以前より言葉にできるようになり、職場でも自分の成長を実感しています。

博士後期課程

人間生活学専攻

多様化する人間生活を追究する

修士課程各専攻を融合・発展させ、高度な技術革新と多様な社会情勢に対応し、人間生活を総合的に究明することをめざしています。心理臨床学・人間発達学・生活環境学・生活材料学・生活管理学の5分野を柱にしています。

S.A.さん 博士課程1年(令和4年4月現在)

40代半ばにして博士課程に入学しました。
現在は新型コロナ感染症の呼吸療法等に用いられる腹臥位姿勢について、種々生体計測の手法を用い、褥瘡等の合併症が少なく安楽な腹臥位姿勢が提案できるよう研究を進めています。
だいぶ遅咲きの入学ではありますが、この年になった今だからこそ自分が本当にやりたいことを行えていると感じます。そして、私のやりたい研究に対し親身に相談にのっていただける指導教員の存在、新たな視点や手法のアドバイスをいただける環境は、本当に充実した日々だと実感しています。

研究題目:大麦粉生地の力学特性に及ぼす諸因子の影響をふまえた加水指標の確立

T.A.さん 人間生活学総合研究科 人間生活学専攻 令和3年度修了生

大麦は、優れた健康機能性に期待され、穀粒の利用が増加している一方で、製粉した大麦粉の利用は進んでいません。そこで、大麦粉の用途拡大を目指した基礎研究として、大麦粉調理における加水条件に着目し、バッターの力学特性を左右する主因子とその影響の大きさを追究しています。
大学院での授業だけでなく、外部の講習会等への参加や本学の助成制度を利用した学会発表により知識を深めるとともに、情報収集しながら研究を進めています。多くの時間を研究に費やすことができ、充実した毎日です。

「維持血液透析患者の嗅覚・味覚の実態を明らかにし、患者の食事量を増加させることから、QOLを維持させる」

S.N.さん 人間生活学総合研究科 人間生活学専攻 平成28年度修了生

病院管理栄養士の経験を経て、臨床栄養学担当教員として管理栄養士養成教育に関わっています。修士課程で研究を一から学び、修了までこぎつけました。更に教員として、着実に遂行できる研究力を身に着けるために、博士課程へ進学しました。博士課程では研究報告が全くされていない維持血液透析患者の嗅覚と味覚に着目した研究を行いました。大学院の研究生活で身をもって感じたことは、学ぶチャンスには年齢に関係の無いこと、教育環境は自分で整え、努力することです。何ものにも代え難い貴重な3年間となりました。今でも患者の嗅覚に着目し、味覚と関連付けた研究を続け、研究に対する苦手意識が減ってきました。

「在宅看護」を深く研究し、介護者への支援モデルを作り上げたい

M.E.さん 人間生活学総合研究科 人間生活学専攻 平成27年度修了生

看護学校の教員として、看護教育に携わっています。他大学大学院で修士課程を終えていたので博士課程へ進むことを考えました。進学する一番の目的は、研究を深めて自己を成長させることでした。私の研究領域は「在宅看護」です。高齢者の夫婦二人暮らしで在宅介護をしている夫または妻に対して、訪問看護師がおこなう支援のモデル作りをめざしています。研究を通して、現場の看護師、ケアマネージャー、ヘルパー、医師なども多くの人と交流しながら在宅ケアの充実を図っていくとともに、一人でも多くの看護師をめざす学生に看護の素晴らしさを伝えていきたいと考えています。