学長挨拶・建学の精神

 

学びの特色

東京家政大学・東京家政大学短期大学部 学長 井上 俊哉

校祖渡邉辰五郎は、裁縫を教授できる智徳の優れた女性教員を育成するために、1881年(明治14年)、本学の礎となる和洋裁縫伝習所を設立しました。専門的知識・技能を持ち、これを活かすことによって独り立ちし、社会に貢献できる女性の「自主自律」は、本学の建学の精神となっています。また、第二次世界大戦後、新制大学としての東京家政大学の設立に尽力した初期の学長である青木誠四郎は、知識・技能の習得と共に豊かな人間性を培い、柔軟な思考力と積極的な実践力を持つ女性の育成に努めました。学生たちから慕われた青木学長が提唱した生活信条「愛情・勤勉・聡明」は、本学に学ぶ学生の指針となっています。今日に至るまで、建学の精神をしっかりと受け継ぎ、生活信条を実践する本学の卒業生は、社会の様々な領域で、専門的な知識・技術・技芸の実力を発揮し活躍しています。

このような歴史を踏まえて、2017年(平成29年)、東京家政大学の学位授与方針(ディプロマポリシー)を策定し、本学で学ぶ学生が卒業までに身に着けるべき学習成果を以下のように定めています。

・社会において、「よく考えられた生活」を自主的・自律的に創り、営むのに必要となる幅広い教養とそれに支えられた自ら学ぶ力を有している。(聡明)
・自らの専門領域の知識・技能と研究方法を身につけ、社会においてそれを実践的に生かすことができる。(聡明)
・他者および自己への愛情をもって、他者の意見や価値観に耳を傾けつつ、自らの考えを再構築する思考力・判断力・表現力を有している。(愛情・勤勉・聡明)
・他者の幸福と自己の幸福を重ね合わせ、それを踏まえて他者や自己に接することができる。(愛情)
・勤勉に「よく考えられた生活」を自主的・自律的に創り、営んでいくことができる。(勤勉・聡明)
・社会のさまざまな課題に向き合い、すべての人が「よく考えられた生活」を自主的・自律的に創り、営むことができるよりよい社会を協同的に形成することができる。(愛情・勤勉・聡明)

このような学習成果の達成のために、大学として、あるいはそれぞれの学科において、教育課程を編成・実施しています。ぜひホームページで、教育課程の編成・実施方針(カリキュラムポリシー)を確認してください。 さて、今年2023年(令和5年)、本学は創立142周年を迎えます。2018年(平成30年)に決定した「140周年とその先を目指して―東京家政大学の将来ビジョン―」も示しておきます。

  1. 「ひとの生(Life)を支える学」の構築をはかり、教育・研究する大学
  2. 多様な人の生き方を認め、支え、家庭・職場・社会で貢献し、グローバル化する時代で活躍する女性を輩出する大学
  3. 教育・研究の成果を課題解決に生かし、地域・社会のよりよい生活のために還元する大学
  4. 変化の激しい時代に、卒業生、地域・社会の人々が生涯にわたり学び、能力を高め、生きる力を支援できる大学
  5. 大学の特色である「ひとの生(Life)を支える学」を生かした産学官民と連携する大学

グローバル化、少子高齢化、急速なデジタル化、そしてコロナ禍の影響など、世界も日本も大きな転換を迫られています。しかし、恐れることはありません。「ひとの生(Life)を支える学」は、どんな国でもどんな時代でも、大切な学びです。予測困難なこの時代において、皆さんに身に着けてもらいたいのは、自ら目標を見定めて生涯学び続ける姿勢です。在学中に、それぞれの学科の専門科目にしっかり取り組むだけでなく、共通教育科目やボランティア、社会貢献などの正課外活動にも意欲的にチャレンジし、自らの個性を確認しましょう。東京家政大学は、充実した学びの環境を用意して、皆さんの自律的な学修を支え続けます。

本学の教育理念

  1. 建学の精神である「自主自律」の道を歩むことのできる人材を育成する
  2. 生活信条としての「愛情・勤勉・聡明」を実践できる人材を育成する

本学の教育目的

  1. 専門的な知識・技術・技芸を身につけ、公的資格を活かして社会に貢献し活躍できる女性を育てる
  2. 広い教養と洞察力を身につけ、多様な社会的事業に参加し、時には社会を変革できる勇気を持つ女性を育てる
  3. 人と人との繋がりを大切にし、その中で存分に力を発揮できるコミュニケーション力のある女性を育てる
  4. 日本を知り、世界を知る国際感覚を養い、グローバルスタンダードに適う女性を育てる
  5. 社会の様々な生活技術を豊かにすることに貢献し、さらに自分自身の人生も豊かにすることのできる女性を育てる

建学の精神

本学園は、明治14年(1881年)に校祖渡邉辰五郎先生によって、封建社会から脱し、明治という新しい時代をつくるには、女性も立派に独り立ちができ、社会に貢献ができるものとしなければと考え、「女性の自主自律」を願い「新しい時代に即応した学問技芸に秀でた女性」の育成を志して創立されました。爾来、「女性の自主自律」を建学の精神とし、「愛情、勤勉、聡明」を生活信条として、明るく堅実な校風を築き上げてきました。

本学園ははじめに、東京神田の湯島に設置されましたが、昭和20年に戦災で焼失、昭和21年に現在地に移り、戦後の学制改革により、当時、東京女子専門学校であった本学を大学に昇格させ、東京家政大学、東京家政大学短期大学部および附属幼稚園、中学、高等学校を併設し、その後、昭和61年、埼玉県狭山市に校地を取得し文学部を設置しました。平成21年には、大学を板橋キャンパスに集約し、文学部を人文学部と改組しました。
平成26年4月、狭山において看護学部、子ども学部、かせい森のおうちが開設され、「新」狭山キャンパスとして始動し、平成30年には看護学部を健康科学部に名称変更するとともにリハビリテーション学科を新設しました。
また令和4年には家政学部 栄養学科を栄養学部 栄養学科・管理栄養学科に改組しました。そして、令和5年には児童学部が誕生しました。大学は1大学院(1研究科)、6学部、1短大および2研究所などを開設しています。

今日、世界は新しい秩序を求めて、大きく変わろうとしています。富める国、貧しい国との間、あるいは各国内での貧富の格差の拡大、民族間の対立、環境破壊、地球温暖化など様々な問題があります。また、国内問題としては、急速に進む、少子高齢化、人口の急減、それにともなう、政治、経済、産業など社会構造の変革などがあります。これらの問題を解決するには、柔軟な女性の視点で、地に足のついた細やかな対応が必要であります。豊かな感性、優しさ、きめ細かな配慮といった、女性ならではの特色、特性があらゆる分野で生かされるとき、平和で豊かな社会がつくられるということです。
20世紀は、あまりにも物質文明に偏った時代でした。21世紀は人間中心、生活中心の時代とならなければと思います。本学はこうした新しい時代を築く、研究、教育、文化の活動拠点として砦として、伝統を生かし発展しつづけています。

副学長

太田 洋

グローバル教育センター 所長

三浦 正江

教育支援センター 所長

押元 信幸

アドミッションセンター 所長

宮島 祐

子ども支援学部 学部長