ドリームプラン奨学金

 活動報告

 
令和7年度(2025年度)後援会ドリームプラン奨学金 採用

栄養満点ドイツパンをもっと身近な日常へ

栄養学部 管理栄養学科 3年 T.N.
(所属・学年は活動当時のもの)

活動内容

私はドリームプラン奨学金で採択していただいた費用を活用し、ドイツに渡航して現地のパン製法や食文化について学びました。本活動の目的は、ドイツでパン作りの技術や文化的背景を学び、その経験を活かして帰国後にドイツパン教室を開催することです。

将来的には、ドイツパンをより多くの人に知ってもらい、日本でも身近な存在として親しまれるような活動につなげることを目標として取り組みました。実際に本場で習得した知識や経験を活かして、パン教室を開催することは、参加者に対してドイツパンの魅力をより具体的かつ説得力をもって伝えることにつながると考え、ドリームプラン奨学金に応募しました。

また、パン作りの体験だけでなく、その背景にあるドイツの食文化や生活習慣についても紹介することで、参加者がドイツという国そのものに興味を持つきっかけを作りたいと考えました。こうした活動を通じて異文化理解を促進し、食文化を通した国際交流にも貢献することを目指しました。

ドイツ滞在中は、現地のベーカリーやパン専門店を訪問し、ドイツパンの種類や製法、販売方法について学びました。ドイツでは地域によって特色の異なるパンが数多く存在し、日本では見かけることの少ないライ麦パンや全粒粉パンが日常的に食べられていました。また、パンは単なる主食ではなく、人々の暮らしの中心であり、多くのドイツ人を支えていることを実感しました。店内には多種多様なパンが並び、それぞれに長い歴史や地域性があることを知り、ドイツパン文化の奥深さを改めて感じました。

さらに、現地の食文化にも触れることができました。ドイツでは朝食や夕食にパンを食べる習慣が根付いており、パンとともにチーズやハム、ソーセージ、ジャムなどを組み合わせて楽しむ食卓が一般的です。実際に現地で食事を体験することで、パンそのもののおいしさだけでなく、パンを囲む食文化全体を理解することができました。特に、シンプルな食材を組み合わせながら楽しむ食事スタイルは、日本にはない魅力の一つだと感じました。

今回の活動を通じて最も印象的だったことは、ドイツパンが人々の日常生活に深く根付いているという点です。日本ではパンというと近年は柔らかく甘みのあるものが人気ですが、ドイツでは素材本来の味を生かしたパンが多く、健康面への意識の高さも感じられました。ライ麦を使用したパンや長時間発酵によるパンは食物繊維やビタミンが豊富であり、健康的な食生活を支える存在となっています。こうした特徴は、日本でも今後さらに注目される価値があると考えています。

パン教室の受講を通じて、食文化を学ぶことはその国の価値観や生活様式を理解することにつながると実感しました。言葉だけではなく、実際に同じ食卓を囲み、同じものを食べることで生まれるコミュニケーションの大切さを学ぶことができました。

現地で受講したパン教室では、数人のグループで一つのレシピの工程を分担しながらパン作りを進める機会が多くありました。正直、私はドイツ語でのコミュニケーションに不安を感じていましたが、周囲の参加者や講師の方々はとても親切に接してくださいました。中には、授業で使用するテキストの日本語訳を準備してくださる講師の方もおり、現地の方々の温かい支えのおかげで安心して学びを深めることができました。

また、現地滞在期間中にはベーカリーの視察やパン教室の受講だけでなく、実際に現地のパン屋で働かせていただくという貴重な経験もすることができました。これは滞在していたゲストハウスの方の紹介によって実現したもので、渡航前には全く予定していなかった活動でした。

早朝6時30分、まだ外が暗いうちからパン屋へ向かい、パン職人の方々とともにパンの成形や焼成、工房の清掃、翌日の仕込みなどを体験しました。未経験であり、短期間の滞在者である私に対しても、実際の作業に積極的に参加させていただけたことに大変驚きました。現場では職人の方々が一つひとつ丁寧に指導してくださり、パン作りに対する姿勢や仕事への責任感を間近で学ぶことができました。

特に印象的だったのは、人材育成に対する考え方の違いです。日本では、まず見て学び、経験を積みながら徐々に作業を任されることが一般的ですが、現地では実際に手を動かしながら学ぶことを重視しているように感じました。失敗を恐れず挑戦する機会を与える文化に触れたことで、技術の習得だけでなく、人を育てる考え方についても多くの学びを得ることができました。

このように、今回のドイツでの経験は、パン作りの技術や知識を学ぶだけでなく、異文化理解や国際交流の意義について改めて考える貴重な機会となりました。現地の方々との交流を通じて得た学びや経験を今後の活動に活かしたいと思います。

帰国後は、本活動で得た知識や経験を活かし、東京家政大学においてドイツパン講座を企画しました。しかし、ドイツパンの特徴である長時間発酵により焼くまでの工程の長さでパン教室を開催すること、また、日本人の嗜好には合いにくい点が課題でした。

そこで、帰国後にもう一度現地で学習してきた知識の復習をし、原料の配合、発酵の温度と時間、粉の種類などの条件を実際に何度も比較し、膨らみや食感、風味への影響を分析しました。その結果、本場の再現性と課題解消を両立した独自のレシピを開発し、単なるレシピの模倣ではなく、日本でも入手可能な材料でパン作り初心者でも失敗しにくく、食べやすいオリジナルレシピを完成させました。

一回3時間の講座で、総数45名が参加してくださり、教室ではドイツの食文化を体感できる構成になるよう工夫しました。具体的には、実際にドイツパンを作る体験だけでなく、現地で学んだ食文化や健康的な魅力についても紹介することはもちろん、日独比較の観点から原材料や発酵法、粉の分類法、日常におけるパンの位置付けの違いについても理解を深めました。

また、試食の時間にはより本場に近い形でドイツ文化を感じてもらいたいと思い、無塩バターやドイツで購入してきたヌテラ、数種類のジャムを添え、ハムやクリームチーズなども用意しました。ドイツ人が日常生活で食べる 「パンのおとも」を取り入れ、参加者がドイツの食卓文化を体験できるような内容を企画しました。

結果、参加者アンケートではパン教室の満足度100%、さらに81%から ドイツパンだけではなくドイツ文化にも興味を持った」という項目で最高評価を獲得し、異文化理解だけでなく国際交流のきっかけ提供にも貢献できたと考えています。

まとめ

今回の経験は、私にとってパン作りの技術を学ぶだけでなく、食文化の大切さや国際交流の意義について深く考える機会となりました。今後は大学内での活動にとどまらず、地域のイベントや食育活動などにも発展させながら、より多くの人にドイツパンの魅力を伝えていきたいと考えています。

最後になりますが、このような貴重な機会を与えてくださった東京家政大学後援会の皆様をはじめ関係者の方々に心より感謝申し上げます。今回の経験を今後の学びや活動に活かし、
多くの人々へ還元していけるよう努力してまいります。誠にありがとうございました。