2005年 企画展「日本の装い―晴れ着と働き着の美しさ」
展示趣旨
日本人の多くが世界のどこへでも自由に旅することができ、その地の生活文化にふれることができます。訪れたその地にしばらく滞在すると、自国の伝統文化を大切にしながら普段の生活をしている人々に感動し、帰国することも多いでしょう。
しかし、旅が終わり日本にかえるや否や、畳の上でほっと一息つくと、やはり日本人であることを思い知らされます。
日本の文化財は、1992年に法隆寺や姫路城などが世界遺産として認定されたのをはじめとして、その後多くの文化財が世界遺産となりました。最近では2003年11月に人形浄瑠璃文楽(じょうるりぶんらく)が世界無形文化遺産として、また昨年7月には熊野古道などが認定されたこともあり、私達も自国の文化遺産の大切さに気づき始めてきています。このように日本の人々が文化に目を向け、理解し好感を持つようになったのは、日本が平和な国であるからでしょう。
しかし、世界の実情は厳しく、目をそむけたくなるようなこともありますが、いっとき日本の伝統的な衣服文化を味わっていただきたいと思います。
私達は、古より朝鮮や中国から伝えられた衣服を、気候・風土に合わせながら、日本人の繊細さ、粘り強さを布に表わし、発展させてきました。
今回は、日本独特の衣装にみられる染織や技に裏づけされた「小袖(こそで)」「打掛(うちかけ)」また庶民の働き着に見られる日本の技と微妙な色使いなど、その時代の人々の装いを凝らした美しさを楽しんでいただければと思います。