2001年 企画展

 

2001年 企画展「渡辺学園裁縫雛形コレクション」

展示趣旨

開館時間
平成13年6月25日(月)~7月23日(月)(前期)
平成13年10月22日(月)~11月19日(月)(後期)

明治14年創立以来、大正、昭和10年代にいたる本学の裁縫教育の中で、生徒が製作した裁縫雛形をとおして、当時の伝統的な服装やその変遷を見ていただきたい。

裁縫雛形(雛形という)は、本学の校祖である渡邊辰五郎が、明治初期に自ら考案した雛形尺(ひながたざし)(鯨尺による実寸の約1/3縮尺 )を使って、生徒に製作させた服装等のミニチュア標本である。

渡邊辰五郎は従来の裁縫塾による一対一の単なる裁縫技術の伝授から、計算式を使って理論的に理解させる独創的な裁縫教授を行った。また、衣服の裁ち方や出来上がりを判りやすく、しかも多くの生徒に一斉に教えられる種々の裁縫掛図(さいほうかけず)褄形(つまがた)袖形(そでがた)等を考案し使用したことにより、更に教育効果を上げることができた。これにより一斉教育が可能になり、裁縫を学校教育の中に位置付ける条件が整った。

渡邊辰五郎は、明治14年に自宅に私塾『和洋裁縫伝習所』(東京家政大学の前身)を開設して、多くの女子たちに雛形製作を含む裁縫を教授した。当時本学生徒は決して裕福な家庭の子女ばかりでなかったこともあり、実物大の衣服と並行して、雛形尺を使って実寸の約1/3になる雛形の製作を理論的に教授した。この雛形は布地が節約でき、短期間で多種多様な縫い方を習得できる効率的・経済的な製作方法として好評であった。その作品を見ると、実物と比べ直線縫いの部分が少ないだけで、すべて実物と全く同じ様に丁寧に縫われていて、柄までも違和感のない小柄のものが選ばれ美しい仕上がりとなっていることに誰でもが驚く。

今回は、国から「重要有形民俗文化財」の指定を受けたことにより、卒業生から寄贈された館蔵品の雛形約3000点のうちから、明治30年から昭和15年までに製作された雛形について、年代順に和装・洋装・有職類・生活用品の4大分類し、その中を被り物・上衣(じょうい)下衣(かい)外衣(がいい)・下着などの中分類に区分けして紹介。そのほか、雛形製作の教具類、製作用具についても併せて展示する。