第二外国語教育について

 

「英語+α」でより持続可能な社会を支える

より多様な文化や生活様式、考え方などに触れることは、持続可能な社会において、みなさんのこれからのキャリアにとって不可欠のものになることでしょう。第二外国語を学ぶことで、外国語=英語、外国文化=英語圏文化という狭い(誤った)考え方に気づくはずですし、英語の学びだけでは越えられない、より多様な文化に対する理解が広がります。第二外国語の学習は、多様性に基づく持続可能な社会でキャリアを歩む皆さんにとって、大切な素養を身につける機会となるはずです。

ビジネスのチャンスと旅の豊かさ

第二外国語が身につくことで、当然ですが現地の人たちと直接コミュニケーションをとることができるようになります。それが旅先であれば、目の前の人からその地のその時の極めてローカルな情報を得ることが可能になります。なによりも、現地のことばで直接コミュニケーションがとれると、地元の人は時として「嬉しい」と感じてくれることが多いものです。その地のことばが話せるということは、そのことばや、そのことばの文化圏に興味を持ち、多くの時間をかけてきたことの証でもあるからです。ビジネスであれば、現地の人たちとより心通じるやり取りを通して、多くのチャンスが生まれることになるかもしれません。

グローバル社会を生きる

昨今のネット社会であっても、メディア上で見聞きする出来事をどこか遠くで起こっていることと感じていませんか。英語圏があまりにも広く漠然としていることと、英語が「ことば」というより「科目」として感じられているからかなど、様々な理由が考えられます。 自分が選んだ第二外国語の学修を通して、そのことばを話す人たちや、その人たちが暮らす社会がより身近に感じるようになると、その地で起きる出来事がこれまで以上に「他人事でない」ニュースとして感じるようになることでしょう。第二外国語の学習が、世界で起きる出来事を、国や文化、人種の違いを越えて身近なこととしてとらえられる感覚、つまりグローバル的な感覚を磨く機会になればと願っています。

学び方を学ぶ

皆さんは英語学んで何年が経ちましたか? おそらく第二外国語(フランス語、ドイツ語、中国語、コリア語)については、皆さんはまたゼロからの学習となることでしょう。ここで改めて「ことばをどのように学ぶか」ということに直面します。ことばの学び方を相当に意識し、少しずつ達成感を味わっていきましょう。この「ことばの学び」を英語の学習にも応用して、英語のスキルも高めていくきっかけにしてみてください。文献によると、第二外国語の履修者は、そうでない学生に比べ、TOEICのスコアの伸びが高いということが報告されています*。

第二外国語の学修は、これからの社会のため、皆さんの将来のキャリアや楽しみのため、そして学習方法を確立するためにも、大切な学びとなります。ぜひ英語以外の世界に飛び込んで、皆さんの世界を広げてみてください。

*田中一嘉. 2017.「初級第21 外国語学習の意義と効用 ─ 大学専門外外国語におけるドイツ語学習を例に ─」『群馬大学教育学部紀要 人文・社会科学編』第 66 巻