リハビリテーション学科の教員らの研究論文が,国際誌に掲載されました


リハビリテーション学科では、最新の研究知見に基づく質の高い教育を行うとともに、研究成果を社会に発信していきます。

リハビリテーションで患者さんのやる気を高める方略:専門家によるコンセンサス

<概要>
浜松医科大学の田中悟志・准教授と信州大学の小宅一彰・助教を中心とした研究グループは、専門家の意見を集約・洗練する反復型アンケート技法(デルファイ法)を用いて、脳卒中リハビリテーションの専門家が、患者さんのやる気を高めるために有効と考えている方略を明らかにしました。本研究は、米国リハビリテーション医学学会の刊行する学術誌である「Archives of Physical Medicine and Rehabilitation」に日本時間2020年8月1日に公表されました。本誌は、リハビリテーション医学分野でトップランクの学術誌です。http://bit.ly/2QlmX2n

<研究の背景>
リハビリテーションに対する患者さんの意欲をどのようにして高めるのでしょうか?この問いの答えは、実験に裏付けられた十分なデータがあるわけではなく、医療従事者の経験知に大きく依存しています。本研究では、患者さんのリハビリテーションに対するやる気を引き出すために有効と考えられる方略について、熟練の医療従事者の中で合意形成を図りました。

<研究の成果>
脳卒中リハビリテーションの専門家100名以上にアンケート調査と結果のフィードバックを3回繰り返すことで、有効と考えられる方略についての合意形成を図りました。その結果、課題の難易度を適切に調整することや目標を設定することなど23個の方略が、患者さんのやる気を引き出す有効な手法であるとの合意が形成されました。この方略リストは、患者さんのやる気を高めるうえで有益と考えられます。

<今後の展開>
今後の研究では、このリストを活用して患者さんのやる気を効果的に高める介入モデルを開発し、その有効性を検証します。

<発表雑誌>
Archives of Physical Medicine and Rehabilitation

<論文タイトル>
Motivational strategies for stroke rehabilitation: a Delphi study

DOI
https://doi.org/10.1016/j.apmr.2020.06.007

<著者>
小宅一彰、鈴木誠、大高洋平、百瀬公人、田中悟志

<研究グループ>
浜松医科大学 医学部 総合人間科学講座(心理学)
信州大学 医学部 保健学科 理学療法学専攻
東京家政大学 健康科学部 リハビリテーション学科
藤田医科大学 医学部 リハビリテーション医学Ⅰ講座
日本学術振興会科学研究費補助金(18K17730, 20H04050)、浜松医科大学学内研究費の支援により行われました。

<本件に関するお問い合わせ先>
浜松医科大学 医学部 総合人間科学講座(心理学)准教授 田中悟志
Tel: 053-435-2387  E-mail: tanakas@hama-med.ac.jp
信州大学 医学部 保健学科理学療法学専攻 助教 小宅一彰
Tel: 0263-37-2413  E-mail: k_oyake@shinshu-u.ac.jp

   
     
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