文化情報学環

深掘り!文化情報学環 vol.2

 

深掘り!文化情報学環 vol.2

「文化を学ぶことで見える世界はなに?」「どんな文化を学べるの?」など、文化情報学環の学びについて、和田先生にインタビュー!


Q1. 文化を学ぶことで見える世界とは?

 今日は文化情報学環の学環名にもある「文化」についてお伺いします!

さっそくですが、文化を学ぶと、どのような場面で役立つのでしょうか?

 そうですね。一口に文化といっても、とても広いので、全てを学ぶことは到底できません。

文化とは、人間が長い時間をかけて作り上げた、生活の仕方や考え方のことです。食事や服装といった「目に見える文化」と、言語や価値観、習慣などの「目に見えない文化」があります。これらは、その土地の気候や歴史によって異なり、また他の文化と出会うことで時代と共に変化し続けます。

文化を学ぶことは、自分たちとは違う他者を尊重し、同時に自分たちの「当たり前」を客観的に知ることにつながります。

下の写真は、デンマークの首都コペンハーゲンの夏の様子です。 人々が短い夏を思いきり楽しんでいる雰囲気が伝わってきます。デンマークの夏は日照時間がとても長く、非常に過ごしやすい季節ですが、冬になると一転して日が短くなります。
私自身、デンマークに2年間留学し、そこで文化や環境の違いを肌で感じました。その経験がきっかけとなり、日本の歴史や文化についてもより深く考えるようになりました。


Q2. 授業では文化についてどのようなことが学べる?

 確かによく考えると、文化を学ぶには深い考察が必要ですね。

 はい。文化情報学環では、最終的に自分の興味ある文化を自身の研究テーマとして深めていきます。

しかしその前に、私の授業では「目に見える文化」である「アート」と「建築」を取り上げます。「地域社会とアート」という授業では、アートが地域の活性化にどう繋がるかを事例研究します。「建築と社会」という授業では、身近な建築が社会にどう貢献しているのか、その文化的・社会的価値を学びます。

 建築というと難しそうですが、設計をするのですか?

 文化情報学環は建築学科ではないので、設計はしません。

建築といっても、これも広い意味を持ち、家、学校、駅、図書館、お店など、私たちの身の回りにあるものです。それがどのような価値を持って、地域社会に存在しているのか、学問として学びます。

例えば、下の写真はアメリカの建築家フランク・ロイド・ライトが設計した自由学園明日館です。池袋駅から徒歩10分ほどの場所にあります。
もともとは女子教育のために設立された学校ですが、長い間使われず、廃墟のようになっていた時期もありました。

その後、歴史的建造物として改修が行われ、現在は使い続けながら保存する「動態保存」の成功例として知られています。学校としての役割を終えた今は、社会人教育の場として利用されるほか、週末には結婚式やパーティーの会場にもなるなど、多様な用途で親しまれています。

 海外の文化も学ぶことができますか?

 はい。幸福度の高い北欧を事例に学ぶ「北欧文化とウェルビーイング」という授業があります。こちらは「目に見えない文化」として、価値観の違いなど精神文化を日本と比較します。

「幸せ」は目に見えないですからね。北欧文化を知ると、豊かな生活文化とは何か、これからの日本社会に必要なものが見えてくるのではないでしょうか。

もちろん、北欧に限らず、アメリカなどに興味があれば、どんどん自分自身で他国の文化も探究していってください。

 先生は北欧以外に海外に行かれたことがありますか?

 はい。私はよく海外に行きます。仕事だったり、旅行だったり。最近ですと、アメリカ、スリランカ、ポルトガル、フランス、フィンランド、デンマークに行きました。

 すごいですね。私は英語が苦手ですが、いつか外国に行きたいと思っています。

 ぜひ、大学生時代に旅行や留学など海外文化に触れる機会を持つことをお薦めします。

語学力も大事ですが、コミュニケーション能力も実は重要なんです。伝えたい気持ちがあれば、身振り手振り、つまりジェスチャーで伝えることもできますよ。

これもある意味、「言葉以外で情報を発信する」ということになりますね。他国の文化の違いを知ると、自分の国を客観的に見ることができ、異文化理解が深まります。

今はインターネットで簡単に海外と繋がることができるようになりましたね。そのおかげで今でもデンマーク人の友人や建築家の方と交流を続けており、先日、20年ぶりの再会を果たしました。


Q3. 文化を理解するってどういうこと?

 先生は異文化を知って、びっくりしたことはありますか?

 たくさんありますよ。例えば、日本では先生のことを「和田先生」と苗字で呼びますが、海外では下の名前で呼び捨てします。目上の人を呼び捨てにするのは日本では失礼に当たりますが、海外では親しみを持って呼ぶので、全く失礼にはならないのです。

また、ヨーロッパでは、会った時、別れる時にハグをするのが習慣ですが、日本で男女が駅で抱きあっていたら、誤解しますよね。これも「習慣」という文化を知ることで、正しく理解できるようになります。

 異文化理解って面白そうですね。

 是非、文化情報学環で文化を学び、正しい情報を集め、整理し、情報を発信していくプロセスを学んでいきましょう。